エレバーニャ王国で育った長女イヴは幸せで平穏な暮らしをしていました。ある日のこと、国が戦争に備える為、王の定めにより強制的に「 男は兵隊に、女は労働者 」となりました。

この出来事をきっかけにイヴは家族と離れ離れにされてしまいました。

幸せで平穏だった毎日は突然と嘘かのように消え、イヴは過酷な労働を強いられて日々奴隷のように働いて過ごすことになってしまいました。

訓練終わりの兵隊の衣服を洗濯したり、兵隊の食事の準備や、重たい積荷運び、終わりが見える事がない衣服づくりに薬莢づくり、家具づくり。イヴは「これも国の為になるのなら」「家族を守れる可能性があがるのなら」と苦しい毎日を耐えて過ごしました。

しかし、無茶な仕事内容により女性労働者皆んなの体力も限界に。

そこでイヴは現場の皆んなが「身体を休ませる時間をつくるにはどうすればいいか?」を毎日考えて過ごすようになりました。洗濯物の効率化、各種仕事の担当分担、見張りの兵隊がいないわずかな時間に休憩グループをつくって休み時間の提供。仲間達ひとりひとりに声をかけまわって元気づける事などに徹底したのです。

すると数週間経つうちに現場の皆んなの体力が回復できると同時に仕事の生産性が5倍にも膨れ上がりました。

この方法を同じ労働者である近隣の街の女性労働者グループに伝える為、半年に一度来る電報のおじ様に手紙を渡したりもしていました。

そうして厳しい労働環境の中過ごしていくある日のこと、イヴは違和感に気づきます。”女ばかりが働いている現状と、日に日に訓練から早く帰ってくる男兵士達”。やがて兵士達は訓練にもいかなくなり、呑んで騒いでバカ騒ぎする毎日になっていました。

「何みてやがんだ!女は国の為に働け!酒だ酒もってこい!」

まるで山賊です。

そう、実は随分と前から戦争は中止されていたのです。しかし、国の王は素晴らしく働く女性労働者による生産性の高さに旨味を覚え、無くなった戦争の現状を皆んなに伝えることなく「いつ戦争が起きるかわからない状況」として話を収めていました。

この時は知りもしなかったイヴですが、イヴがつくった労働環境の生産性が評価された事が切っ掛けで戦争が無くなっていたのです。

そんな事を知らされる事なくただただ加速する労働強度。

兵隊達は国の王から「取引がなくなれば戦争が起きる!きっちり働いているか見張っておけ!」と言われている為、厳しくなる一方です。あげくには休憩のルーティンもまわせない日も。

少なくなるばかりの睡眠時間。もう限界。

そんな時、イヴは兵隊達の驚くべき世間話を耳にしました。

「 ”俺達が武器を隠してる”とかなんかっつうデマが広まって、取引の条件が厳しくされたんだってよ。女ども可哀想だよな〜。だからよ、王はこの土地はウィンダルにさっさと譲ってしまうらしいぜ。近隣の山のふもとに国を移して同じ品物づくりをして儲けを国で独り占めすると言ってるそうだ!うまくいきゃ、俺達の国も安泰だな! 」

許せない。

こんな限界を超えるような労働環境耐えれるわけがありません。

「俺達の国は安泰」ではなく「俺達だけが安泰」

何よりあっけなく国を見捨てる情けなさ、呆れ果てるばかりです。イヴは思わぬ計画を思いつきました。「このままでは私達は一生報われないので私達だけで国をつくろう!」と。「王がいてもいなくても、男どもがいてもいなくても同じだ」と。

さっそくイヴは女性達を自分の作戦に協力してもらう為に行動に移しました。日々イヴは仲間たちを支えていた為、皆すぐさま意見に賛同。さらにタイミングが良い事に明日から3日間、兵の実弾の訓練はしません。

その間に、油断を誘う為のカモフラージュの銃は弾を抜いておき、作戦に使う為の銃は少しずつバレないように運び隠しました。

日々忠実に国の為に働いてきた為、兵士達の見張り時間、建物の死角、すべて把握しています。

そして郵便配達のおじ様とも遭遇できた為、隣の街の妹アリシアにも内容と作戦を書いた紙を届けてもらいました。この時、流れは間違いなくイヴにありました。

あとは作戦決行し、王の元にいくのみ。

そして作戦決行予定の日。

武装した私達女性労働者は兵士達に銃をつきつけます。兵士達も銃を取りますがそれはカモフラージュ、弾の抜かれた銃です。日々の訓練を手抜きで行っていた怠けた兵士達は自分達が持っている銃に弾がない事がわかると、すぐに白旗をあげてくれました。

ついに王の元へ行き、イヴの後ろには武装した仲間がいます。

「 一緒にウィンダルに同行して頂きます 」

混乱する王。

イヴは王に剣をつきつけ、本気である事を行動で示しました。王はついていくしかありませんでした。

一方でなぜか牢獄にいたオウティス軍隊長も仲間が発見して無事解放。その状況に「俺も是非いかせてくれ」と参道しました。

そしてウィンダル王国。

「 ウィンダル王!エルバーニャ王が大量の武器を隠していた為暴動が起きる前に我々が拘束しました。武器を隠し持つ事は法律に触れる事です。これにつき和平を結ぶ為、条件改正を提案します 」

イヴは広められたデマの噂を逆手に取り真実にしました。

あわてふためく元エルバーニャ王は否定を繰り返しましたが、団結している労働者達と軍隊長の証言が証拠となり、その場で牢獄行きが決定。

その強き女性に惹かれたウィンダル王はイヴに一つ質問をしました。

「これからどうするのかね?」

するとイヴは膝から崩れ落ちたエルバーニャ王の王冠を目の前でそっと頭からとり、笑顔でこう言いました。

「私達が女性の国をつくります。このような男には任せられません。エレバーニャとウィンダルがより強い国家となるよう資源の循環を考えてみせます。」

エルバーニャ軍隊長オウティスはウィンダルの軍に入る事となり、イヴは国を新しく復興させる事となったのでした。仲間達の元へ戻りイヴは王からとった王冠を掲げ、皆と共に強き女性の国をつくったのでした。

おしまい。

お店のコンセプト

後にイヴはエルバーニャの伝説となり王国は「女の国」として発展を遂げました。「eve」は国の通貨としても使われるようになり国民はいつまでもイヴを英雄としてたたえたのでした。

エルバーニャの城下町、

かつてイヴ達が囚われ働いていた建物は現在では改装されて「Eve Crown」というお屋敷になっています。このお屋敷の名前は英雄イヴが悪い王様から王冠を取り上げ奴隷達を解放した日に記念ににつけられたそうです。

お屋敷にはイヴが愛用していた剣や骨董品などが飾られ、当時イヴが愛飲していた紅茶もおかれているそうな。

現在そこでは国の女騎士達が楽しそうに働き、紅茶やお酒を嗜み旅人を歓迎しているのでした。お屋敷には主である”200歳の喋る垂れ耳うさぎ”「ラブ」がいます。まだまだ謎が多いうさぎでイヴが国を復興したあとの物語を知っていると噂されています。歳を聞くと怒られるそうです。

是非、Eve Croenに旅の疲れを癒しにきてくださいませ。

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